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TeddyLoid
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池田智子Shiggy Jr.

静かな惑星ほしで出会ったふたり

SILENT PLANET
TeddyLoid
発売中/EVIL LINE RECORDS
iTunes Amazon

テディ少年とその代替アンドロイド=TeddyLoidが、宇宙船ブラック・アポロで地球に帰還すると、そこはコミュニケーションや音楽が禁止された『沈黙の惑星』になっていた――。

そんな世界を舞台に、中田ヤスタカ、☆Taku Takahashi (m-flo)、galaxias!でも共に活動した柴咲コウ、KOHH、tofubeats、小室哲哉、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)など、世代もジャンルも異なるゲストが多数集結。彼らがレジスタンスとして地球に音楽や感情を取り戻すための壮大なアドヴェンチャーを繰り広げていくTeddyLoidの最新作『SILENT PLANET』は、少年の孤独を描いた前作『BLACK MOON RISING』から一転。手に汗握る冒険と、いつになく音楽への真っ直ぐな視線が詰め込まれた作品になった。

中でも4曲目“Secret”で作品にキュートかつポップな魅力を追加しているのが、ご存知Shiggy Jr.のヴォーカル、池田智子。そこで今回は2人の対談とフォトセッションを通して、「TeddyLoidと池田智子が『SILENT PLANET』で出会ったら?」という、スピンオフ・ストーリーを作ってみました。同い年の2人とあって、話は“Secret”の制作秘話からお互いの音楽観、そして尊敬する同世代のアーティストたちの話題まで。今作の参加アーティストそれぞれに存在するだろう別のストーリーも想像しながら、ぜひ楽しんでみてください。

Shiggy Jr.さんの“GHOST PARTY”にリミキサーで参加させていただくことになって、
池田さんの声のパラデータを聴いていたら、もうこれがすごくいいんですよ。
「これはぜひ歌ってもらいたいな」と思ってオファーさせて頂いたんです。
(TeddyLoid)

TeddyLoid  - 『SILENTPLANET』 TrailerTeddyLoid - 『SILENTPLANET』 Trailer

――まずはベースになる部分としてTeddyLoidさんに教えてもらいたいんですが、Teddyさんはいつも作品ごとにコンセプチュアルな設定を用意していますよね。今回の最新作『SILENT PLANET』には、どんな設定やストーリーがあるんですか?

TeddyLoid 今回は、前作『BLACK MOON RISING』の続きの物語になっているんです。前作では黒い月にいるテディ少年の孤独を描いたんですけど、今度はそのテディ少年が、ブラック・アポロという宇宙船に乗って地球に帰る。でも戻ってみたら、そこは言葉と音楽が禁じられた『SILENT PLANET(=沈黙の惑星)』になっていて、民もみんな囚われていて。そこで、そういう人々を仲間やレジスタンスたちと音楽で解放していく――。今回はそんなストーリーを考えてみたんです。

TeddyLoid - Black Moon SympathyTeddyLoid - Black Moon Sympathy

――(アートワークを見ながら)ああ、挿絵でもその物語が表現されているんですね。

TeddyLoid そうなんです。イラストは前作に続き、絵本の挿絵も書かれている佐竹美保さん(『魔女の宅急便』など)にお願いしました。前作ではストーリーを文章で掲載しましたが、今回は歌詞もあるので挿絵として表現して頂いて。あくまでサブストーリーとして設定を用意することにしたんですよ。

――このコンセプト、池田さんは知っていたんですか?

池田 うーん?

――あ、知らなかったんですね(笑)。

TeddyLoid そこまではお伝えしてなかったんです(笑)。

池田 (笑)でも、(レコーディングが終わって完成版の)CDを頂いた時に、ブックレットを見ていたらイラストが入っていて。「わぁ、こういう感じの作品なんだ」って思っていたところだったんですよ。

――つまり、池田さんは知らず知らずのうちに『SILENT PLANET』から音楽を解放していたんですね……。大役をいつの間にか果たしていた……。

2人 はははは(笑)

――そもそも、今回のコラボレーションはどんな経緯で実現したものだったんでしょう?

TeddyLoid まず、僕がShiggy Jr.さんのEP、“GHOST PARTY”にリミキサーとして参加させていただくことになって。1人で作業をしながら池田さんの声のパラデータを聴いていたら、もうこれがすごくいいんですよ。その時ちょうど、この作品も並行して制作していたところだったんで、「これはぜひ歌ってもらいたいな」と思ってオファーさせて頂いたんです。

Shiggy Jr. - GHOST PARTYShiggy Jr. - GHOST PARTY

――じゃあ、「声のデータを聴いていたら、お願いしたくてたまらなくなった」という感じだったんですね。

TeddyLoid そうです。でも、池田さんはバンドとしての活動もあるだろうし、ソロとして歌ってもらうのは大丈夫かな?という気持ちもあって。だから、参加して下さるってお返事を頂いた時は本当に嬉しかったです。

池田 私もすごく嬉しくて。しかも、こんなに素晴らしい方々の中に参加させてもらえるなんてビックリしたんです。昨日もCDを眺めながら「私、この並びにいて大丈夫なのかな……?!」って思っていて(笑)。

――池田さんは、tofubeatsさんの“ディスコの神様”でもコーラスをやっていましたけど、ここまでがっつりゲスト参加するというのは、これまでほぼなかったですよね?

tofubeats - ディスコの神様 feat.藤井隆tofubeats - ディスコの神様 feat.藤井隆

池田 そうなんですよ。でもこういうコラボレーションはずっとしたいと思ってたし、Shiggy Jr.の曲にも打ち込みっぽいものはありますけど、こんな風に(自分の声を)素材として使ってもらえることってなかなかないしで、本当に光栄でした。私、昔から自分の声を切り刻んでもらったりするのが夢だったんです。(完成版のエディットされた声を聴いて)「えええ、何がどうなったらこうなるの?!」って(笑)。

――そもそも、どのタイミングでお互いのことを認識していたんですか?

TeddyLoid 僕はtofuくん(tofubeats)から池田さんも同い年だって聞いていたんで、最初はそれで興味が湧いたんです。それに(メジャー・デビュー曲)“サマータイムラブ”をtofuくんがプッシュしていたので、「すごく面白いバンドだな」って思ったりもしていて。だから、Shiggy Jr.さんのことも池田さんのことも前から気になっていたんですよ。で、その後実際にお仕事で関わらせていただくことになって。池田さんの声には、聴いてすぐに何か突き抜けるものを感じたんです。あと、これって特徴的だと思うんですけど、今こうやって喋ってても、その声自体がいいじゃないですか?

Shiggy Jr. - サマータイムラブShiggy Jr. - サマータイムラブ

――すごく分かります。本当にそうなんですよね。

池田 嬉しい……(笑)。今日めっちゃ鼻声だけど、ありがとうございます(笑)。

TeddyLoid (笑)声自体に魅力がある人なんだな、と。池田さんの声って、すごく抜けがいいんですよ。あと、オートチューンってかかりやすい人とかかりにくい人がいるんですけど、池田さんはかかりにくい。声がいいから。

池田 そうなんだ(驚)。

TeddyLoid そう(笑)。僕の場合最終的にオートチューンで仕上げる曲が多いので、極端に言えば厳密な音程感よりも、声そのもののよさに惹かれてしまうところもあります。で、今回もペンで波形上に全部書いていったんですけど、池田さんの場合はピッチが元々すごくいいので、少し意図的にずらしてケロらせたりしました(効果的な声にするため、ピッチをわざとずらして再修正をかけたりする作業)。

――ああ、なるほど。池田さんは最近、自分の声について感想をもらうことも増えていますか?

池田 当然ですけど、バンドを組む前よりは増えました(笑)。でも、バンドを始めるまでは、あまり自分の声をよく思っていなかったんです。何を歌っても軽くなっちゃうし、本当はかっこいいロックがやりたかったから「全然迫力ないぞ」って思ったりしていて。だから、Shiggy Jr.をはじめて、今回こういうお話を頂いて……。声をいっぱい聴いている人にそう言ってもらえると、自分ではまったく分からないから「えーっ、そうなんだ(驚)」って。昔は嫌だったけど、今はすごく嬉しいです。

――そうして2人がコラボすることになった“Secret”は、池田さんを想定して書かれたものだったんですか? それとも、たまたまハマる曲があったという感じだったんですか。

TeddyLoid - Secret feat 池田智子 from Shiggy Jr. (Preview)TeddyLoid - Secret feat 池田智子 from Shiggy Jr. (Preview)

TeddyLoid 池田さんに歌ってもらおうと思って、色んな曲を作った中のひとつですね。00年代のフィルター・ハウスを参考にしたんです。マディソン・アベニューとか、モジョとか、あの辺りのもの。僕にとってのフィルター・ハウスって、ダフト・パンクとかスターダストみたいにもっとエッジの効いたものだったんで、あまり聴いたことがなくて。マネージャーに教えてもらったんですよ。その時に、「こんなに華やかでポップなフィルター・ハウスもあるんだ」「池田さんの声にピッタリだな」と思ったんです。だから“Secret”は15年型のフューチャー・フィルター・ハウスを作ったら面白いんじゃないかな、と思って作った曲なんですよ。それで(声を)入れてもらったら、見事にハマって下さいました。

Madison Avenue - Everything You NeedMadison Avenue - Everything You Need

Modjo - Lady (Hear Me Tonight)Modjo - Lady (Hear Me Tonight)

――確かに、曲とヴォーカルがすごく合っていますよね。最初からこの方向性で考えていったんですか?

TeddyLoid 最初は他にも色々考えましたね。「EDMにしようか」、それこそ「ロックっぽい、ディストーションを効かせたヴォーカルにしようか」って。でも最終的に、今回はあえて綺麗めの曲に仕上げてみたんです。ポップなディスコ~ダンスクラシックス的な明るさも意識しつつ。

――Shiggy Jr.さんの曲にも“GHOST PARTY”などを筆頭にエレクトロな雰囲気の曲はありますし、原田さんはそういう曲も作れる人だとは思うんですけど、それにしても池田さんがこれまで歌ってきたものとは全然タイプが違う曲ですよね。

池田 そうですね、全然違います(笑)。「これを私のために作ってくれたんだ。すごい」と思いながら聴いたんですけど、その時にトラックだけでも世界観がちゃんと出来上がっているのを感じて。だから私はそれを壊さないように、もっと引き立たせられるように声や歌い回しを考えました。周りの音自体もひとつひとつがキラキラしてるし、抜けてくるし……「これに合う声はどんな感じかな」って。あとは、機械っぽくなりすぎてもつまらないから、語尾の感じや発音でちょっと人間っぽい抜けを作った方が、サウンドの中で引き立ったり、フッと耳を捉えたりすると思ったんですよね。ディレクションもすごくしていただいて。

――なるほど。これは池田さんの曲はもちろんのこと、他のゲストの方の参加曲を聴かせてもらっても思うことなんですが、今回の『SILENT PLANET』にとって「人間っぽさ」は大切な要素だったと思いますか? 音楽が禁止されている惑星で、それを解放していくのって結局は人の力じゃないですか。それもあって今回、「池田さんの声がいい」と思ったのかな、と。

TeddyLoid ああ、それはおっしゃる通りです。やっぱりコンピューター・ベースで曲を作っていると、どうしても機械的になりがちなんで、ちょっと有機的な部分を入れる、というのはいつも意識しているんですよ。今回はコンセプト上でも特にそれが重要だったし。その点、、池田さんって人間味溢れる声をされてるんですよね。

池田 お辞儀……(笑)。

――レコーディングはどんな風に始まったんですか?

TeddyLoid ヴォーカルは一緒にスタジオで録ったんですけど。

池田 「初めまして! 同い年なんですか?!」みたいなやりとりがあって、最初は割と「自由にどうぞ」という感じで始まりましたね。

TeddyLoid そうそう。一回歌ってもらってから、「ここはもうちょっとこうして」「もっと声を張って」という風に、気になるところだけ伝えていったんです。

――へええ。

池田 それが、すごく歌いやすかったんです。私はまだ色んな方にディレクションをやっていただいた経験がないから、「出来るかな」「大丈夫かな」と思っていたんですけど、基本的に自由に歌わせてもらったし、語尾のニュアンスも「ここはもうちょっとこうしてほしい」「ここはこれぐらいのテンションで」って、結構具体的に言ってもらえて。あと、録りながら「今のめっちゃよかった!」ってすごい言ってくれるから、「嬉しい~」みたいになって。

――Teddyさん、褒め上手なんですね。

池田 それで結構調子に乗ってしまったり(笑)。

TeddyLoid でも、本当にすごくいい素材が録れたんですよ。

――大変なこともあったんじゃないですか?

池田 (考えながら)えー、何だろう?

TeddyLoid ないよね? 1時間ぐらいで終わって(笑)。

池田 「もう終わっちゃった!」「めちゃくちゃ時間がある。ご飯に行ける!」って(笑)。

TeddyLoid 僕の場合、ヴォーカル録りって15分ぐらいで終わることもあるんですよ。いい素材が録れれば、あとはそれを持ち帰って人工的にエディットするだけってこともあるので。その点、池田さんとのセッションは発見も多くて新鮮でした。

池田 私からしたら「本当にもういいんですか?」という感じでした。「まだ全然やりますけど」って言っても「もういいよ」って(笑)。あとは……何だろう? バンドの曲とは歌詞が違うから、私は普段より大人っぽく歌おうと思っていましたね。たぶんその方がよくなるんじゃないかなって。純粋な大人っぽさというよりは、背伸びした大人っぽさというか。それで、2人で「何歳ぐらいの設定ですか?」という話をしたんです。Shiggy Jr.の曲でも、原田くんと「何歳ぐらいのどういう人にする?」「私はこう思ってるけど、どう?」って打ち合わせるんですけど、それをTeddyLoidさんにもやってもらって(笑)。

――“Secret”は何歳ぐらいだったんですか?(笑)。

池田 16~17歳ぐらい?

TeddyLoid そうそう。意外だったんですけど、若いコ同士の恋愛ゲームみたいな歌詞を作詞家の藤林聖子さん(E-Girls“Celebration!”他多数)が書いて下さって。曲によってですが、作詞をどなたかにお願いしたのも今回がほとんど初めてのことで、ちなみに5曲目の“Last Teddy Boy”の作詞もヒダカトオルさんなんです。

E-Girls / Celebration! (Short Ver.)E-Girls / Celebration! (Short Ver.)

池田 それ、すごく面白いなぁと思いました。TeddyLoidさんと私だけじゃなくて、作詞をした方とのコラボレーションにもなっていて。だから私自身を表現するというよりは、曲の中の女の子が出るといいなぁと思って歌ったんです。可愛いところもあるけど、ちょっと大人びようとしているところもあって……。つーんとしているけど、女の子っぽい感じもふわっと出ていて。それをどうやって表現しようかなって考えるのがすごく楽しかった。

TeddyLoid 僕は池田さんがそうやって考えてくれるだろうな、というのが分かってたんで、あまり言い過ぎても面白くならないと思って。ある程度はお任せしてました。実は歌詞の部分は、「恋するフレイバー」とか、Shiggy Jr.さんの曲の歌詞にもあるようなフレーズを踏襲しつつ、英詞を足していったんです。つまり、Shiggyさんの歌詞も意識していたんですよ。池田さんのファンの方が聴いてもハッとする部分があったらいいな、と思って(笑)。

池田 知らなかった(驚)。

TeddyLoid だから、逆に「僕がShiggy Jr.さんに入る」みたいなイメージもあったというか(笑)。

池田 だからだったのか、「主人公の世界観に入る」みたいなところがShiggy Jr.とも共通していて、すごくやりやすかったです。あとは、バンドでは他のメンバー3人が男の子だから、女の子っぽい曲ってあまりないんですよね。それも結構新鮮でした。

――池田さん的にはバンドでは出来ないことが出来た、という感じだったんですね。そしてストリートっぽい思いっきりゴリゴリなこともしつつ、同時にこういう曲もやってしまうのがTeddyLoidさんだなぁという感じがします。

TeddyLoid アルバム全体としても、僕はすべてのジャンルの垣根を壊そうと思っていたんです。だからこういう可愛い曲もあれば、ストリート向けの曲もあって、インストも一曲だけ入っていて。

――本当に多彩な楽曲とゲストの顔ぶれで。

池田 本当ですよね。最初にも言いましたけど、ゲストの方々を見て「何で私がここにいさせてもらってるんだろう?」って(笑)。ニュースとかで出るじゃないですか、「池田智子ら(参加)」って。それを見て「わぁ、私入ってるよ!」みたいな。

TeddyLoid (笑)でも、本当に同年代の尊敬するシンガーであり、バンドでもあるし、そういう意味でも参加してもらえてすごく嬉しかったんですよ。また機会があれば、今度はtofuくんとかとみんなで一緒にコラボできたらいいなと思ってて。

池田 わぁ、ぜひ! 私も、同年代の音楽をやっている人たちと、「もっともっと関わっていきたいな」って思っているんです。曲を作る話もそうだし、そもそもみんなが何を考えてるんだろう?ということにもすごく興味があって。最近そういうことをよく考えるんですよ。

TeddyLoid うんうん。今回参加してくれた人だと、KOHHくんも同世代ですね。

――改めて振り返ってみて、“Secret”はどんな曲になったと思っていますか?

池田 素材として声を預けて、色々やってもらって、完成版が来て……その間にどんどん曲がよくなっていって。その過程がすごく楽しかったです。それはみなさんは聴けないですけど……(笑)。でも、出来上がったものもすごくいいなって。1曲だけ聴くのと、アルバムを通して聴くのとでも印象が全然違うから、そういう意味でもすごくいい曲だなと思いました。

TeddyLoid 僕は、自分で最初にイメージしていたよりもいいものに仕上がったぞっていう感触が強いです、特にこの曲は。池田さんが歌ってくれたことで、イメージ以上の曲に成長したというか。実際、池田さんのヴォーカルに刺激を受けてトラックのディテールを作り直したり、結果的に僕らでしか出来ない独自の歌物フィルター・ハウスになったと思うんですよ。

――へええ。池田さんの声に刺激を受けてトラックが変わっていったんですか?

TeddyLoid そうです。だから、ただ僕の作った曲に声を入れてもらったんじゃなくて、2人でセッションして作ったという感覚で。たとえば間奏のところでヴォーカル・カットアップをして(池田さんの声を切り貼りして)ドロップを作ったりとか、リミックスとして収録されたダブ・ヴァージョンは、それはもう細かく切り刻んだりとか(笑)。

TeddyLoid - SECRET Feat. Tomoko Ikeda From Shiggy Jr. (TOKYO SCENE Exclusive Dub)

池田 私、本当に声を切り刻まれるのが大好きなんです(笑)。だから超嬉しかったんですよ。「これ! こういうの!!」って(笑)。

TeddyLoid (笑)初回盤で2バージョンを聴き比べてもらうと面白いかもしれないですね。「あ、ここのフレーズがここに入ってるんだ!」とか。逆に、『ウォーリーを探せ』みたいに、切る前の元のところを探してもらったりとか(笑)。

ポップスって……たとえばジャンルも、それまで聴いてきたものも、
性別も年齢も違う人たちが集まったとしても、
流れているとみんなで話が出来たり、共通項になれたりすると思うんです。
だから、私もそういうものが作りたい、と思うんですよね。
(池田智子)

――さて、今回は同い年の2人に集まっていただいたということで、ここからはお互いの音楽観についても聞かせてもらえると嬉しいんですが、そもそも同世代と言っても、TeddyLoidさんと池田さんは、音楽的に通った道が全然違うような気がしますね。

池田 全然違うと思う(笑)。性格も全然違うと思うし。私は超田舎から出てきて「東京すごいな……」みたいな感じだったし。

TeddyLoid でも、僕も出身は浜松だから。

池田 そっか(驚)。でもキラキラ具合が全然違う……!

――(笑)TeddyLoidさんの音楽的なルーツというと、ダフト・パンクやジャスティスのようなハウス/エレクトロですよね。もちろん、それ以前の影響源もあったと思うんですけど。

Justice - D.A.N.C.E.Justice - D.A.N.C.E.

TeddyLoid そうですね。両親がロカビリー・ファッションの仕事をしていたんで、小さい頃からロカビリーが日常的に家で掛かっていて、その後ヒップホップにハマって、小学校3年生ぐらいの時にはバトルDJ・ビートボックス……みたいな感じで。その後中学生の時にジャスティスにハマって、すべてをぶち壊されたんです。そこから始まったんですよ。

池田 小学3年生?! 私、小3の時なんて何も考えてなかったと思う(笑)。

TeddyLoid でも、その時既にインターネットがあったから、それで曲を作り始めて……。

――池田さんは、小さい頃から音楽をやっているような感じではなかったんですか?

池田 もう全然。バンドを始めたのも、大学で軽音部に入ってからで。だから小3とかだと、流行っているJ-POPを覚えて歌う、みたいな感じです。小さい時にピアノをやってたんですけど、それも本当に習いごと程度で。だから私、音楽遍歴みたいなものが全然ないんですよ(笑)。強いて言えば吹奏楽部だったけど、ぐらいで。流行ってるポップスをずっと聴いていて、高校でロックを聴くようになったんです。

――最初は音大に行こうと思っていたんですよね?

池田 そうなんです。そのための勉強が出来る高校に行ってたんですけど、どうしてもバンドがやりたいなぁと思って、軽音部がある大学に入ろうと思って進路を変えて。それからヴォーカルを始めた感じなので、実はまだ始めて全然経っていないんです。

――へええ。実際に話してもらうと、本当に全然違う道を通ってきていますね(笑)。

池田 ほんとに……!

TeddyLoid 僕なんか、中学の時に軽音部に誘われて「お前らと一緒にやるんだったらやめるわ」って言ってました(笑)。もちろん、みんなで楽器を演奏するのは楽しいんですけどね。

池田 私はそういう人がこわくてしょうがなくて。「ひぃぃ、尖ってる……。ころされる……」みたいな(笑)。

TeddyLoid その時に会ってたら、絶対仲良くなってないですよね(笑)。

池田 絶対なってないです(笑)。

――じゃあ、後で会ってよかったですね(笑)。

池田 本当にそうなんですよ。私はいかに教室で目立たないか、みたいなことを考えてたんで。

――そこからプロのミュージシャンとしてのキャリアを始めて、今はどんな違いを感じていますか?

TeddyLoid 僕はあまり変わらないですね。スタンスは変わってないし、TeddyLoidを始めた時からネットで音楽を聴いてもらっていて、その頃からずっと変わってないというか。

ももいろクローバーZ - Neo STARGATE (Prod. by TeddyLoid)ももいろクローバーZ - Neo STARGATE (Prod. by TeddyLoid)

池田 メジャー・デビューしてからという意味で言うと、Shiggy Jr.を組んでもうすぐ3年になるんですけど、それまではサークルの人の前でしか歌ってなかったから、外の人に向けて歌い始めたのがそれと同時期で。だから、まだあまり変わってはいないんですけど、でも聴いてくれる方がちょっとずつ増えてきた時に感じる、「もっとこうしたい」とか、「お客さんにこういう気持ちになってほしいから、こう歌いたい」とか――。そうやって外に向かう気持ちが増えてきてるなぁというのは感じますね。

Shiggy Jr. - LISTEN TO THE MUSICShiggy Jr. - LISTEN TO THE MUSIC

――そうやって表現を外に出していく時、お互いにどんなことを大切にしていますか?

池田 バンドの曲では、まずハッピーでポップで、みんなが幸せになれるものを意識してます。ポップスって受け入れられやすいですけど、だからこそ逆にちょっとダサいって思われたり、「分かりやすいものって……」みたいに言われる風潮がありますよね。私は、そこを変えたいっていう気持ちがやっぱりあって。音楽的にもよくて、かっこいいものを、よりみんなに伝わるように昇華して出すのが本当にいいポップスだと思うので、それを(メンバー)みんなでやっていけたらいいな、と思うんです。ポップスって……たとえばジャンルも、それまで聴いてきたものも、性別も年齢も違う人たちが集まったとしても、それが流れているとみんなで話が出来たり、みんなの共通項になれたりすると思うんです。だから、私もそういうものが作りたい、と思うんですよね。

――池田さんの場合、音楽を始めた理由も、そうやって人と繋がりたいという気持ちからだったと思いますか。

池田 うーん、始めた時はただ歌が好きなだけだったんです。でも、やっていくうちに、聴いてくれている人がいるんだなって実感したりして、それからはそういうことも考えるようになってきて……いる……と……思います。うん。何か最後、やんわりとしてしまった(笑)。でも本当に、レコーディングでもライヴの光景とかファンの方の顔を思い浮かべながら録ったりしてて、そこは大きな変化ですね。あとは、自分自身がコンテンツとして面白くなって、いろんな人と関わっていきたいという気持ちがあります。

TeddyLoid 今話を聞いていて、なんか「似てるなぁ」と思いますね。僕も音楽って、どんな国の人もどんな人でも聴けるエンターテインメントだと思っているし。そういえば、ちょっと前なんですけど、震災の時にSNSである女の子から、「私は入院していてすごく辛いですけど、TeddyLoidさんの曲を聴いて元気を出してます」みたいなメッセージをもらったことがあったんです。それまでは僕って最新の曲を自分のやりたいようにやる、みたいな感じでしたけど、その時に、そういうことを肌で感じたんですよ。それからは、自分の音楽を聴いて、その3分~4分間だけでも日常を忘れられるような、そんな作品を届けられたらいいな、と思うようになってきて。

――へええ。でも、TeddyLoidさんってそんな人でしたっけ……?

TeddyLoid はははは(笑)。だから、今はメッセージ性を大事にするようなモードになってきているし、今回もコラボレーション・アルバムにして、ヴォーカリストのみなさんにお願いをして言葉で伝えたりとか、どんどんそういうことを重視するようになってきているんですよね。

――なるほど。そういえば、前作はゲストの方が誰も参加していない作品でした。

TeddyLoid まぁ、でもその時には、次はコラボレーション作品にしようと思っていたんですけどね。

池田 私も、今回全編コラボ・アルバムだと知って「えーっ、そうなんだ!」と思って(笑)。でも、「やるからにはコラボを追究するんだ」という気持ちがすごい溢れてるアルバムですよね。この作品って、「ちょっとコラボしてみました」っていう雰囲気じゃないと思うんです。やるからにはとことん、というか。だから、Teddyさんってストイックなんですよね。“GHOST PARTY”のリミックスの時も1パターンお願いしたら、2パターン返ってきて。しかも両方全然違うのにそれぞれ完成されていて。

――へええ。そうだったんですか。

池田 レコーディング中だったんで、バンド・メンバーみんなでスタジオで聴いたんですけど、「めっちゃかっこいい!」って思ってたら、「まだあります」という話になって「えー!」みたいな。バンド・メンバーみんなでいい椅子に座って聴かせてもらいました。それで「すごいねー。同い年だよ?」ってみんなで感動して(笑)。

TeddyLoid 嬉しいなぁ。四つ打ちとダブステップと、2種類作ったんですよ。“Outbreak Remix”と“Poltergeist Remix”。名前もちょっとかけてみたんです。

池田 だから、本当にストイックだなぁと。あと、私はストイックな人ほど、物腰はやわらかいという気がしていて。レコーディングの間緊張しないように褒めてくれたりするのも、きっと真剣にやっていて、「歌う人はこういう時どんな気持ちになるんだろう」ということを考えてるからですよね。そうじゃないと、こんなに沢山の人とコラボレーション出来ないと思う(笑)。

TeddyLoid 自分も歌を歌うから、自分がやられて嫌なことはしたくないし。だからその人の立場に立って進めていきたいんです。その後、全部オートチューンをかけちゃいますけど(笑)。

――(笑)TeddyLoidさんは池田さんと作業をしてみて、ミュージシャンとしてどんな性格の人だと感じましたか?

TeddyLoid 曲に対して誠実というか、真面目に取り組む人なんだなって感心しましたね。

池田 うわぁ、めっちゃ恥ずかしい。これ……(笑)。

TeddyLoid 「メロディをもらって、歌詞をもらって、曲に乗っけました」っていうだけじゃなくて、ちゃんと池田さんのカラーを入れてきてくれて。セルフ・プロデュースができる人なんだな、というのを感じました。だから、Shiggy Jr.さんのファンの方が“Secret”をパッと聴いても、すぐに池田さんだって分かると思うんですよ。僕はそれってすごく大事なことだと思う。

池田 でも今回、最初はそれがなかなか出来なくて。普段は原田くんがオートチューンをがっつりかけて歌った仮歌があって、本当にロボットみたいな声なんで自分の歌いまわしが出しやすいんですけど、今回は仮歌もしっかり入ってたんで、最初はそっちにかなり引っ張られたんです。でも、「これだと私がやる意味がなくなっちゃう!」と思って、何回も歌って、「あ、語尾をこうすると池田っぽいのかも」ということを考えていったんですよ。

TeddyLoid それって、ひとりの時点で一回スタジオ・セッションをしてるってことですよね。僕はその感じが衝撃的で、すごく印象に残ってますね。

今って本当に色んな音楽があって、それを聴く手段もいっぱいあって。
で、僕はもっともっとそうなればいいと思うんですよ。
今回の『SILENT PLANET』も、クラブ・ミュージックもあればラップも入ってるし、
すべてのジャンルを聴いてる人に手にとってもらいたいと思って作った作品です。
(TeddyLoid)

――同世代の人で、他にも共感が出来るアーティストの人たちはいますか?

池田 どうだろう? 私は友達が少ないんで、一方的に憧れてる人なら沢山います(笑)。今って同年代に活躍している人たちがいっぱいいて、「すごい人たちがいるな」「面白い人たちがいるな」と思うことが、本当に増えてきているんです。だから、私も面白い人になりたいというのが、最近のタイムリーなテーマで。……これ、どうしたらいいと思いますか?(笑)。

――(笑)。

池田 みんな言いたいことがちゃんとあって、主張や主義があって、「すごくかっこいいな」って思うんですよ。Yogee New Wavesのみんなとか、SANABAGUNのみんなとか。たとえば、SANABAGUNの(高岩)遼くんって絶対的な自分への自信があって、お客さんもメンバーも、スタッフさんもみんながそれに魅せられている、あの状態ってすごくかっこいいと思う。それから、水曜日のカンパネラのコムアイちゃんも……! 私とはタイプが真逆なんで、「いいなぁ」って思うんです。これは私のコンプレックスでもあるんですよ。カリスマ性の有無というか。

Yogee New Waves - SUNSET TOWN e.p. SPOT (40sec ver.)Yogee New Waves - SUNSET TOWN e.p. SPOT (40sec ver.)

SANABAGUN - 人間SANABAGUN - 人間

水曜日のカンパネラ - メデューサ水曜日のカンパネラ - メデューサ

――池田さんも、今挙がった人たちと同じようなものを持っていると思いますけどね?

TeddyLoid そうですよね。ありますよ。

――たとえば、Shiggy Jr.さんの曲にしても、原田さんの曲ももちろんポップなんですけど、そもそも池田さんの存在や声が既にポップだというのがあったりとか。

TeddyLoid そうそう。

池田 え~、ありがとうございます。何か、私を励ます会みたいになっててどうしよう(笑)。でも、平凡な私だからこそ言えること、伝えられること、表現出来ることもあるって信じていて。それが私の役目かなって。もちろんアーティストとして面白くもなっていきたいんですけど、自分らしさを無視して無理するんじゃなくて、自分のやるべきことに真摯に向き合っていきたいなと思います!

――TeddyLoidさんは、同世代で共感する人というとどんな人たちですか?

TeddyLoid やっぱり、今回参加してくれたtofuくんとKOHHくんは、同い年というのもありますけど、尊敬してますね。

tofubeats - POSITIVE feat. Dream Amitofubeats - POSITIVE feat. Dream Ami

KOHH - Living LegendKOHH - Living Legend

――メンタリティ的にも似たものを感じる人たちですね。

TeddyLoid そうそう。僕らの年代のアーティストは熱いやつが多いと思うんですよ。もうちょっと年齢は下だけどbanvoxくんもそうだし。池田さんもそうだし、才能のある方が多いなと思っていて。

banvox - Watch Mebanvox - Watch Me

――僕は勝手にみなさんのことをゴールデン・エイジって呼んでいるんです(笑)。

池田 わぁ嬉しい。呼ばれたい(笑)。

TeddyLoid (笑)あと、海外だとゼッドやスクリレックスも同い年ですし、ワールドワイドに活躍しているプロデューサーが同世代に多くて。そこから刺激を受けることも多いですね。

Zedd - Stay The Night ft. Hayley WilliamsZedd - Stay The Night ft. Hayley Williams

池田 私の場合、バンドの方とは対バンで会う機会があるんですけど、トラックメイカーの方ってなかなか会う機会がなくて。だから今回こうやって仲良くなれて、池田は嬉しいです。うんうん。

――今の、すごく池田さんっぽいですね(笑)。僕の中ではもともと、2人とも別の方向に突き抜けている人たちだというイメージがあったので、今回本格的なコラボレーションが実現して、「おお、この2人が繋がるんだ!」と結構驚いた部分もありました。

TeddyLoid それは嬉しいですね。今回はやっぱり、そうやって驚いてもらいたいと思いながら作ったアルバムだったので。だから、そうですね……ありえない感じの……。

池田 「別の生物体系」の……みたいな(笑)。

TeddyLoid でも、最初にリミックスをしている時に、本当に「音楽的にいいなぁ」って感じたんですよ。だからシーンとかは一切関係なく、「池田さんにお願いしたい」と思ったんです。

池田 私も、そうやって色んな人と関わりたいなってずっと思っているし、しかも今回はそれが同世代だったというのもあって、本当に嬉しかったですね。

――同世代のみなさんで集まって何かが出来たら、とても面白そうですね。

池田 そうですよね。たとえばスポーツだと、「誰よりも、1秒でも早く……」とか、そういうのが出てきちゃうけど、私は音楽って「好きなものがいっぱいあってもいい」っていうのが、最高だなって思うんです。だから、みんなでシーンがわぁって盛り上がったらいいなって。だって、ポップスで照らせるところもあれば、照らせないところもありますよね。でも、色んな人たちで頑張れば、色んな方向から照らすことが出来ると思うので。

TeddyLoid ああ、確かに。

池田 だから、そういうことをみんなでやれたらいいなぁ、と思うんですよ。

TeddyLoid スポーツだとみんな敵だけど、音楽だったら一緒に曲を作ったりも出来るわけで。

池田 そうなんですよねえ。ほんと、音楽ってそれが最高だと思うんですよ。

――具体的には、同世代で集まるとしたら、どんなことをやってみたいですか?

池田 バンドもDJもトラックメイカーもまったく関係ない、めっちゃ大きいフェス(笑)。

TeddyLoid しかも、何故か全員同時に演奏する、みたいな。

全員 はははは(笑)。

池田 絶対楽しいと思う。絶対(笑)。

TeddyLoid “We Are The World”みたいに全員で1曲やるとか。

USA for Africa - We are the WorldUSA for Africa - We are the World

――はははは(爆笑)。

池田 じゃあ、全員ゆとり世代の、ゆとりフェス(笑)。めっちゃやりたい……!

TeddyLoid みんなでマイク・リレーしたりね(笑)。僕、指揮やるんで。

池田 あはは(笑)。いいなぁ。色んな対談やイベントで知り合って、そんなことが出来る関係を作っていけたら嬉しいですね。そうしたら私も、自然と友達ができるし(笑)。

――2人の感覚としては、自分たちの世代にはどんな特徴があると思っていますか?

TeddyLoid ネット世代が多いと思うんで、やっぱり、ジャンルにこだわらない人が多いな、というのはすごく感じますね。ネットがあれば、音楽ってどこにでも行ってしまえると思いますし。

池田 私はそんなに音楽を沢山知ってるわけでもないんで、他の世代と比べたりは出来ないですけど、でも、オープンな人は多い気がします。閉じてないというか。ジャンルも「俺らはここだぜ」というのがないと思うし、いいものは「かっこいいね」って言える空気がすごくあるし。あとは、聴いてもらうことに対して、すごく積極的な人が多いと思うんです。(手を広げて)「おいで」ってちゃんと出来てる人が多いんじゃないかな、って。ライヴとか音源を聴くことに対して敷居が高い時代もあったと思うんですけど、私たちは「とにかく聴いてもらって、好きになってもらわなきゃ」って思ってて。それにはもしかしたら、CDが売れなくなってきていることや、他の色んなことが関係しているのかもしれないけど、私は純粋に「音楽が楽しめる環境を作ろう」ということにストイックな感じがして、楽しいなって思うんです。そのやり方もそれぞれで、そういう雰囲気がいいなって。

TeddyLoid うん。僕もそうで、今の時代に音楽をやれて、本当に楽しいんですよ。先輩は「Teddyくんが10年前に出てきてたらもっとこうだよ」って言ったりしますけど、僕らは、今の時代で全然いいよね?

池田 うん、楽しい。だからこの感じが、もっともっと広がってくれたらなって思います。

――tofubeatsさんにしてもコムアイさんにしてもそうですが、話を聞かせてもらっていると今の時代を楽しんでいる人が多いなぁという印象は僕もすごくあります。2人は……何が一番楽しいですか?(笑)。

池田 (笑)それはやっぱり、同世代の子とかが新譜を出して、「次はどんな感じなんだろう?」「あ、めっちゃかっこいい!」みたいなことで。「(いい作品が出て)やばい、どうしよう」ってなるんじゃなくて「いいなぁ。頑張ろう」って普通に思えるというか。あとはやっぱり、私はみんなが何を考えてるのかを知りたい(笑)。

TeddyLoid 確かに、今ってみんながそれを発信している時代なんで、知ることができるし。

池田 そう、インタビューを読んでも分かるし、Twitterを見ているだけでも分かるし。パーソナリティを含めて音楽を楽しめるのがすごく楽しいというか。

TeddyLoid やっぱり、音楽に関しては自分と似てることが多いなって思いますね。

池田 普段やってる音楽のタイプは違うかもしれないし、性格も全然違うかもしれないけど、でも、たとえば音楽って、それが鳴っていれば泣いていようが笑っていようが、全部の理由になってくれるのが魅力なんじゃないかなって私は思っていて。だから今回の作業も、すごく楽しかったです(笑)。

――これからの音楽について、どんな風になっていってくれたら嬉しいと思いますか。

TeddyLoid 今って本当に色んな音楽があって、それを聴く手段もいっぱいあると思うんです。で、僕はもっともっとそうなればいいと思うんですよ。そして、色んな音楽を聴いてほしい。今回の『SILENT PLANET』も、クラブ・ミュージックもあればラップも入ってるし、僕としてはすべてのジャンルを聴いてる人に手にとってもらいたいと思って作った作品ですし。

池田 実際、今ってみんなが色んなジャンルを聴いていて、聴く方も作る方も色んな音楽について「かっこいい」って言えるような雰囲気がありますよね。それがもっともっと広がっていけばいいな、って私も思います。音楽シーン全体が、純粋に「いいものはいい」ってなったら嬉しいし、今はそういうものを目指してやっている同年代の人たちが沢山いるから、私もその一部になれるように頑張ろうって、思います。

――では最後の質問です。『SILENT PLANET』は沈黙の惑星から、音楽を解放していくというテーマの作品でした。じゃあ、この世界に音楽がなかったとしたら、2人は一体どうしていたと思いますか? もしくは、どんな世の中になっていたでしょう?

TeddyLoid ははは、面白いですね(笑)。そうだな……。音楽がなかったら、まず、ダンスがないと思うし、大きい声を出すこともないし……。人との会話が成り立たなくなってしまうと思うんですよ。だから、人とのコミュニケーションがなくなっちゃうんじゃないですかね。

――Teddyさんはやっぱり、スケールの大きな話になりますね(笑)。

池田 私、自分の考えた答えがバカ過ぎるんですけど……(笑)。自分は食に走るなぁって(笑)。他の楽しいものに走っちゃって。

TeddyLoid でも、自分の場合好きなもの全部に音楽がかかわってるからなぁ……。難しいなぁ。

池田 とりあえず、私は人前には出てないと思いますね(笑)。教室の隅にい続けちゃって。小っちゃい声を発して、きっと小っちゃい声のまま死んでいってた……! 大声のリミットがすごく小さかったんですよ。

――音楽を通して、変わったんですか?

池田 人前で「みんなー!!」とかは一生言わないと思ってました(笑)。

TeddyLoid へええ。今日話すまで全然そんなイメージがなかったし、生徒会長っぽい印象でしたけどね。

池田 図書委員ですよ、図書委員! 図書だよりを作って……きっと声が小っちゃいまま死んでいたんだ……。

――(笑)。

TeddyLoid 僕は帰宅部だった(笑)。

――じゃあみなさん、このアルバムで音楽が解放されて、本当によかったですね……。という、不思議な終わり方でもいいですか(笑)。

池田 本当に……。ありがとうございます……(笑)。

TeddyLoid ははは(笑)。次はロックっぽい曲もやれたらいいですね。シャウトしてもらったりとか。

池田 わぁ、やりたい! それやりたいです。

――池田さんのシャウトって、全然想像がつかないんですが……!

TeddyLoid デスヴォイスとか(笑)

池田 やったことないです(笑)。「炭酸を飲むといいよ」って言われたことはあるんですけど。私、炭酸飲めないですけど、飲んで向かいます!(笑)。