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Sugar's Campaign

都市型ポップのつくりかた

in TOKYO SKYTREE TOWN ®

「都市」「街」と聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべるだろう? 恐らくそのイメージは、人によって大きく異なるはず。けれども、この2015年において、「都市のポップ・ミュージック」とはどんなものかと考えた時、Sugar's Campaign のメジャー・デビュー作『FRIENDS』は、多くの人にとってその魅力を共有出来る作品のひとつと言えるんじゃないだろうか。

各自のソロ名義でも活躍する大阪のSeihoとAvec Avecによるプロジェクト、Sugar's Campaign。トラックメイカーとしてtofubeatsらと共に世界の音楽シーンの最先端と共振しながら日本の若手勢を引っ張る2人は、バンド編成のこのユニットでは、互いの才能を融合。トッド・ラングレンやAOR、過去のJ-POP的なものへのオマージュをふんだんに盛り込みながら、10年代ならではの都市のポップスを聞かせてくれる。けれど面白いのは、彼らの音楽から連想する「都市」「街」が、いわゆる「シティ・ポップ」の洗練された都会とは異なっているということ。デビュー・アルバム『FRIENDS』には、8曲に参加した初期メンバーのakioを筆頭に、 momo、 Sherry Li、 IZUMI がヴォーカル参加。まるで作品自体が「そこに暮らす人の日常や記憶の集合体=都市」を舞台にした群像劇であるかのように、日々の「あの感じ」や「この感じ」を魅力的なワンシーンに変えていく。それが可能なのはきっと、メンバーである前に長年の友人でもある彼らが共有する様々な思い出や、互いへの信頼関係があるからこそ。そうして2人が鳴らすのは、「みんなのあるある」を集めた全方位対応のポップ・ミュージックだ。

今回は Seiho、Avec Avec、akio と共に、世界一高いタワーのある東京スカイツリータウン®へ!360°全方向に街を見渡せるこの場所で、『FRIENDS』について、「シュガーズの音楽と都市」について思いを巡らせてもらいました。3月19/20日には東京と大阪でリリース・パーティも開催。今からでも遅くない。あなたもぜひ、このめくるめくポップ・ワールドに参加してみてください。

昔のテープに付いてた絵葉書に街の景色が載ってて
入ってる曲も80’sポップスみたいなものが多かった
そういうものを通して「これが都会か~」って

Sugar's Campaign - ホリデイSugar's Campaign - ホリデイ

――Sugar's Campaignの音楽はよく「都市型ポップ」と形容されますが、そこで描かれる「都市」からは、シティ・ポップの洗練された感じとは違って、もっと無邪気で子供っぽいものを感じます。そもそも、みなさんの記憶の中で一番古い「都市」とか「街」のイメージはどんなものなんですか?

Avec Avec
(スラスラと)まず、僕の中であるのは……。

Seiho
(Avec Avecに向かっていたずらっぽく)ないやろ、絶対。

Avec Avec
ないです。

――(笑)。

Avec Avec
いや、ありますよ(笑)。子供の頃に覚えてるのは、幼稚園ぐらいの時の、梅田~京橋辺りの風景ですね。僕は小さい頃住んでたのが東大阪なんですけど、全然都会じゃなくて工場地帯みたいなところだったんです。そこから梅田まで出て、母親に連れられて映画を観に行ったりして。その帰り道の、夜の電車や京橋のビルの風景が印象に残ってますね。

――たとえば、“おしえて”のMVみたいな感じですか。

Avec Avec “おしえて”Avec Avec “おしえて”

Avec Avec
いや、そんなに綺麗じゃなくて、もっと汚くてガスがほわーっとある……ネオン街で、ラブホがいっぱいあるイメージで。サイバーパンクな雰囲気というか、汚くて、ギラギラしてる感じですね。僕の中での都会って、人が多いというよりは光がいっぱいあるとか、そんなイメージなんです。

――Seihoさんやakioさんはどうですか?

Seiho
僕はもともと都会っ子なんで。下町は下町なんですけど、梅田まで自転車で5分ぐらいだし、徒歩圏内にその辺(大阪の中心地)があったんです。だから都会を感じたのって東京に来るまでなかったですね。初めて1人で東京に来たのは高校3年か大学の1回生ぐらいにライヴで呼んでもらった時なんですけど、その夜行バスで行った東京とかですね。

akio
僕は小さい時に大阪に出る機会もなかったし、地元枚方の、ビブレとかのショッピング・モールに行って「これが都会か」って思い込んでました。それから中学や高校の頃に大阪に出たり、東京に来たりして、「もっと都会があったんや」って発見していった感じで。

Avec Avec
確かに、東京に初めて来た時とか、都会っていうより外国みたいな印象があった(笑)。あと、僕は『めぞん一刻』みたいなアニメも好きで、そういう作品の中の夜の街の風景は大きかったですね。それから、母親がUSENで働いてたんで、家にテープがいっぱいあったんですよ。昔のテープって絵葉書とかが付いてたと思うんですけど、そこに街の景色が載ってて、その映像を見て「これ凄いな」って思ったりして。しかも、そこに入ってる曲って80’sポップスみたいなものが多かったじゃないですか? そういうものを通して「これが都会か~」って。自分の中にはそれと、最初に言った京橋の風景みたいなものがずっとあるんですよ。

――Sugar's Campaignの場合はAvec Avecさんが作曲する割合が多いですけど、それこそ『めぞん一刻』であるとか『気まぐれオレンジ☆ロード』のような、日本がまだバブリーだった時代の作品を連想させるものが多い印象です。

Seiho
狙って作ってるわけではないんですけどね。これはノスタルジーとも違うんですけど、そういうものが原体験としてあって、どうしてもそこに引っかかってしまうっていうか。

Avec Avec
僕の中の整理された街のイメージっていうのが、そういうものなんです。

――そういう作品にどんな魅力を感じたんですか?

Avec Avec
ひとつは、主題歌が大人びてたんですよ。『美味しんぼ』のOP/EDとかも、「ビルがあって、ワイングラスがあって」……みたいな感じじゃないですか(『美味しんぼ』のOPテーマは中村由真“Dang Dang 気になる”、EDテーマは同じく中村由真の“LINE”)。当時、J-POPの流行としてもブラック・コンテンポラリーみたいなものが流行っていたし、そういうリズムを持ったポップスがアニメの主題歌にもなってたりして。

『美味しんぼ』OP/ED『美味しんぼ』OP/ED

Seiho
大人が観るアニメが成熟して、そういうものを子供も観るような時代だったんですよね。87年~95年ぐらいまで。『シティーハンター』とかもそうなんですけど、あの感じがたぶん、僕らが混ざって覚えてる記憶なんです。あと、自分の場合は、小さい時に観たアルバ・ノトの展示会。あれを観た時は衝撃的で、自分の中の都市のイメージはそれが大きいと思います。今まで都会に住んでたけど、あそこまで極端に人工的なものって観たことなかったから。それにハマって、池田亮司(Ryoji Ikeda)の演劇とかを観に行くようになって……それが11~12歳の頃だと思うんですけど、僕の中での原体験としてかなり大きかったですね。

akio
僕は文化的なことは言えないんですけど、友達と中学校の頃に自転車で道頓堀とかに行って『これが都会か』って感じたりして。

Seiho
確かに、道頓堀は都会感あるよな。

akio
「これ、自分たちだけで来たらあかんとこなんじゃないか」みたいな(笑)。

Seiho
ああ、「都会に行く」ってちょっと悪いことしてるような感覚はあったかも。僕も当時好きだった子と難波まで歩いて行ったことがあるんですけど、中学の時とかって、めっちゃ早く会いたいでしょ。もう朝から会いたい(笑)。それで、朝5時ぐらいから、電車もないから歩いて難波まで行ったんです。そうすると、5時の歓楽街の感じってあるじゃないですか? ホストがたまってるような。僕はそれが好きだったんですよね。大阪に住んでますって感じがして。

Avec Avec
大阪に住んでるとそういう露悪感みたいなものに触れる部分があるんです。さっき話したラブホのネオン街とか、道頓堀のごちゃっとした感じとか、京橋の感じとか、そういうものが都会のイメージとして凄くある。

――でもSugar's Campaignの音楽って、むしろそれとはかなり違うものになっていますよね?

Sugar's Campaign “ネトカノ”Sugar's Campaign “ネトカノ”

Avec Avec
それは、僕らがそういう都会をコンセプトにしてないからです。そもそも、都市っぽいとか、シティ感みたいなのって、周りの人から言われることで、自分達はあまり意識してないんですよ。僕ら、都会っぽくしようと思って曲を作ったりは全くしていないし。「ホームグラウンド感」とか「のどか」みたいなイメージの方が強い。

――都市は都市でも「日常系」という感じがしますよね。そこで暮らしてる人の、普段の生活が見える感じというか。

Seiho
ああー、その方が近いかも。僕のソロとかの方が都会っぽいと思うし。かと言ってtofuくん(tofubeats)が言ってるニュータウンの感じとかともちょっと違うんですよね、もうちょっと架空のものが多くて。何て言うか……僕はシュガーズの音楽って「あるある」だと思うんですよ。オマージュ映画みたいに、「これが入ってたらこれよね」を構築していった結果、シュガーズっぽさになってるというか。エモーションよりも、むしろ「これでこれは……ある」「これでこれは……ない」って、「あるかないか」だけで考えてる部分がある。

Avec Avec
他のポップスはエモーションを第一にしているけど、シュガーズはそうじゃないって話?

Seiho
そうそう。ポップスって基本的には個人的なものだけど、シュガーズの場合は「みんなが知ってるあれ」みたいな感覚。みんなの中にある何かを想起させる装置になってるというか。

――そういえば、シュガーズのレコーディングではakioさんのヴォーカルの感情が出過ぎていないテイクが採用される、という話もありますね。

akio
レコーディングの時はあまり自分のエモを出しすぎずに、フラットに歌って欲しいって言われますね。シュガーズでは昔からやってることなんですけど、実際、そっちの方が合うんですよ。

Avec Avec
もちろん、エモさを一切出さないっていう意味ではないんです。でも、そのバランスをコントロールするというか。自由に歌うとヴォーカリストが気持ちいい歌い方のエモさが出てしまうから、そこを調整したいということなんですよ。

――個人的にし過ぎないことで、みんなに共感できるものにする、ということですか?

Seiho
ぐるっと回って辿り着いてるんで説明が難しいんですけど、ポップスは超個人的だからこそ共感できるっていうのは、もちろんあるんです。でも、その時に歌い手個人のエモーショナルなものが見え過ぎると、その瞬間に(その曲が)「対誰か」になってしまう。で、それってもう他の人から見て「私のこと歌ってる」ではないじゃないですか。だから、シュガーズの場合は、そうなってないことが重要だと思うんですよ。僕はそこがいいところじゃないかな、って思ってて。

――ああ、なるほど。

Avec Avec
特定の人のことを歌ってないから、「本を見る」とかに近い感覚というか。

Seiho
そもそも、僕らの話し方とかもそうなんです。シュガーズって自分たちのことを話す時に自分たちのことじゃないように話すところがあって。でも、本人たちが「シュガーズのよさは~」って言ってるのって、普通に考えるとどこから話してるのかよくわからない(笑)。

Avec Avec
「誰やねん!」っていう。

akio
なんか、話すとそうなるよな(笑)。

Seiho
他のインタビューを読んでても思ったんですけど、自分たち自身を上から見てる感じがあるというか。それってシュガーズにとって結構重要なポイントなんですよね。

シュガーズってメンバーだけのあるあるじゃなくて
「みんなのあるある」を集めてる感じがする
だから「もっと乗っかってきて欲しい」と思うんです

――じゃあ、アルバムの内容も上から見てもらいましょうか。今回「都市」をテーマにしているので、その話に絡めてもらえると嬉しいんですけど、“となりタウン”も“香港生活”も“夢見ちゃいなガール”も、ヴェイパーウェイヴっぽい“Shopping Center”もそうで、『FRIENDS』には色々な街が登場すると思うんですね。それぞれの曲について、それがどんな街なのか、もしくはどんな街に思えるか、みたいなことを教えてもらえますか。

Avec Avec
僕らの中で分かりやすいのは“香港生活”ですね。香港には行ったことないんですけど、僕らの理想で、「香港の街がこうやったらいいな」っていう曲で(笑)。

Seiho
最初、曲タイトルは“Endless Night”だったんですよ。でも、その後に歌詞を読んでたら、「“Endless Night”って直球過ぎてダサい」って話になって(笑)。それで色々考えてたら「あっ、これ“香港生活”っぽいよな?」って。香港というか、最初、Vシネマみたいなイメージでした。

――「マフィア=香港」みたいな(笑)。

Seiho
そうそう、でも最近、歌詞を書いてくれたMeiちゃんから内容を聞いたら全然違ってて、「女の子が香港に出て頑張る」っていう歌詞で……。

Avec Avec
“夢見ちゃいなガール”と一緒(笑)。

Seiho
でも僕らは歌詞に出てくる「かき消される ムーンライト/聡明なgirl 染まりゆく ミッドナイト」の「girl」が、自分のことを歌ってるって分かってなかったという。これ、最近発覚したんですよ。その子の意向を聞かずに歌詞の印象でタイトルを付けてたんですけど、この間「実は女の子の歌なんですよ」って言われて(笑)。

Avec Avec
僕らは、最終的にサラリーマンの歌だって解釈してたんですけどね(笑)。というのも、マフィアってちょっと行き過ぎてるし、自分たちに親近感がないんで。

Seiho
だから、サラリーマンが単身赴任で香港に行ってる、っていう感じを出したかったんです。

Avec Avec
「そのまま“単身赴任”ってどう?」とか色々考えて(笑)。

Seiho
それで、最終的に“香港生活”がいいな、と。なんか、「無印良品」っぽくもあるじゃないですか。

Avec Avec
ヴェイパーウェイヴ感がある(笑)。

――(笑)“となりタウン”はどうですか?

Avec Avec
これは(ゲームの)『MOTHER』とか『スタンド・バイ・ミー』みたいなイメージですね。

Seiho
一軒家が横に並んでるような街のイメージ。僕は行ったことないですけどね、そんなところ。

Avec Avec
都会っていうよりは、「ホームタウン感」の方が強いんです。そのホームタウンから自転車に乗ってとなり街に行ってるのか、それが妄想なのか、みたいなことがテーマになってて。

Seiho
“となりタウン”も、“ホリデイ”もそうですけど、行ったのか行ってないのか分からないんですよね。歌詞の上では行ってるけど、それが夢なのか現実なのか分からない。行ってる途中なのか、行きたいっていう歌なのか分からなくて、それがずっと同時並行的に語られてるっていう作りになってる。“ホリデイ”は、ちょっと都会っぽいですよね。

――パーティーに出かける時の歌なんですよね。

Seiho
そうです。それから(中国語の歌詞が登場する)“夢見ちゃいなガール”は……。

――昔の映画とかで「続編で急に舞台が上海とか香港になる」みたいなものをイメージしてました。

Avec Avec
ああ、そういうのありましたね(笑)。これは自分としては、『ドラゴンボール』感というか、『らんま1/2』感というか、そういうものを目指して作った曲ですね。

Seiho
あとは……最後の“パラボラシャボンライン”とかも、akioの歌い方が他と比べて小さいんですけど、それが隣に人が住んでる感じがしていいっていうか。「近所に誰かいる」みたいな感じで、ちょっと下宿っぽい(笑)。

Avec Avec
歌ってるのはめちゃくちゃ遠い場所のことなんですけどね。これ、宇宙の歌なんで。

Seiho
でも四畳半からそれを妄想してる感じが広がってて、そこが面白いというか。

――色々話を聞いていて思ったんですけど、「街」「都市」って色んな人の生活が交差している場所でもあると思うので、そういう意味でSugar's Campaignの音楽は「都市のポップ・ミュージック」を連想させるのかもしれないですね。

Avec Avec
ああ、その解釈いいですね(笑)。

Seiho
僕らもそういうことにしときます……って、それはやばいな(笑)。

――でも実際、そこがソロ活動の時と違ったりする、みたいな部分はありますか?

Seiho
やっぱり、ソロは自分のエモーションで作れるものなんで。でもシュガーズはさっきも言ったように「あるある」なんですよ。しかも僕は、メンバーだけのあるあるじゃなくて、他の人も含めた「みんなのあるある」を集めてる感じがするんですよね。

Avec Avec
あ、それはよく分かる。シュガーズの曲って、「みんなたぶん、こう思ってるんやろうなぁ」とか、「こういうの喜ぶかな」とかって考えたりしていて、それが自分たちでも嬉しいっていう感じで。

Seiho
しかもその「喜ばせたい」っていうのが、単純に「エンターテインさせる」っていう意味の「喜ばせたい」じゃないんですよ。もっと「こういうの好き?」みたいに問いかけて――。

Avec Avec
で、「あ、好きなんや? やったー!」みたいな(笑)。

――「あるある」を共有して、みんなでワイワイしたいってことですか?

Avec Avec
そうそう。だから、ただ「どうぞ」って提示してるだけとはちょっと違ったりもして。

Seiho
みんなで共有して、ワイワイ言いたい。だから僕らは、「もっと色んな人に参加してもらいたい、もっともっと乗っかってきて欲しい」って思うんですよ。

Sugar's Campaign 『ネトカノリリパ』東京公演ダイジェストムービーSugar's Campaign 『ネトカノリリパ』東京公演ダイジェストムービー

――それはもの凄く分かりやすいです。ちなみに、『FRIENDS』というタイトルは、もともと喫茶店っぽい名前にしたいというところから始まりつつも、同時にこれまで会った友達のことでもある、とのことですが……。

Avec Avec
僕らのこれまでの話を聞いてもらったら分かる通り、後付けなんですけどね。

――(笑)その“友達”についても聞かせてもらえますか? 最初の頃から考えると、活動を続けていく中で色んな人脈が広がったと思いますし、そういうこれまでの期間についても振り返ってもらえたら嬉しいんですけど。

Seiho
そうですね……’10年ぐらいに、音楽的にも色んなものがクロスオーヴァーしていった時期があったじゃないですか。最近はまたちょっと落ち着いてきてる感じもありますけど。

――チルウェイヴが盛り上がって、色んなジャンルが混ざっていった時期ですね。

Seiho
そうそう。交友関係が広がったのもやっぱりあの頃で、僕が2.5DやDOMMUNEに出させてもらったりしはじめたのもその頃だったし。

Avec Avec
僕が(アメリカの)Mushからリリースしたのもそれぐらいで。もともとシュガーズとしてバンドでやってるものと、ネットで(トラックメイカーとして)ソロでやってきたものがあって、それでtofuくんとかとも知り合って、Mushの人ともやりとりして……っていう中で、遠い友達と近い友達がその辺りで全部一緒になった感じがあって。それが凄くよかった。「ああ、みんな同じこと考えてるんだな、世界で」っていうことが分かったんです。

Seiho
(UKの)bo enとかもそういう感じやもんな。

・bo en 『pale machine』 http://maltinerecords.cs8.biz/123.html

Avec Avec
ネオン・インディアンがトッド・ラングレンをサンプリングして曲を作ってるのも(初期の代表曲“Deadbeat Summer”で“Izzat Love”をサンプリング)、「近いなぁ」っていうか、同時期に同じことをやってるって感覚があった。

Neon Indian“Deadbeat Summer”Neon Indian“Deadbeat Summer”

――シュガーズのメンバー間のことについてはどうですか? もちろん、これも『FRIENDS』の中に含まれていると思うんですけど。

Seiho
でも僕らってほんとに変わってないんですよね(笑)。

akio
僕とSeihoは大学時代に会ったんです。

Seiho
で、akioとAvec Avecは高校からの知り合いで。

Avec Avec
それからSeihoとずっと(音楽を)やってるけど……。

Seiho
(Avec Avecをちらっと見て)僕はもう、嫌いです。

――はははは。

Avec Avec
だから、ちょっと嫌なんですよ。嫌われたくないんです(笑)。Seihoは飽きっぽいんで、新しいことをやっていかないと飽きるから。それが少し寂しいっていうんですかね?(笑)。それもあって、アルバムを出して楽しかったのはいいけど、「じゃあもういいわ」ってならないように、ちゃんと考えようかなって。新しいシュガーズのテーマ的なことを。

――何なんですか、この一連のくだり(笑)。

Avec Avec
(笑)でも、今回も楽しかったよな?

Seiho
楽しかった。これは他のバンドとはちょっと違うところかもしれないんですけど、僕らが楽しいのって楽器とかを持たずに、2人でテーマとか方向性を話したりしている時なんです。そうすると、いきなりオーヴァードライヴする瞬間があるんですよ。で、その瞬間に大体全部が決まる。

Avec Avec
そうそう、見えるんです。「あ、これや!」って。

――へええ。めちゃくちゃ面白いですね。

「これ最近面白いよな」「これも面白いよな」「昔こういうのがあったよな」って話を一杯していった後で、たまにガッとドライヴして、そこで一個ポン!と出てくるような感じというか。

Avec Avec
今回のアルバムも、それが3つぐらいあって出来た感じがありますね。

――その3つって、どんなものだったんですか?

Seiho
結局出来てない曲の話になったりするんですけど、1個あったのは、野球の話(笑)。“となりタウンはもともと“野球のうた”っていうテーマだったんですよ。主人公は女の子なんですけど、その子が野球部の男の子を応援してるっていう曲だったんです。これだけ聞くと一見よくある話なんですけど、その設定が超膨大で、めちゃくちゃ複雑で(笑)。最初はそれを作りたかったっていうのと、あと、“迷路のうた”っていうのもあって。

Avec Avec
これは迷路を書いてる男の子がいるんですけど、その子のことを好きな女の子がいて。

Seiho
その女の子が男の子に告白するかしないか悩みながら帰ってるその帰路に、男の子が書いている迷路の世界に入ってしまうっていう設定なんです。2曲とも出来てないんですけどね(笑)。

――そういう作り方をしているからなのか、シュガーズの曲を聴いていると、その子がどんな性格で、どんな生活をしているのか、みたいなことが想像出来る瞬間がありますね。

Avec Avec
確かに、曲を作る時に「2時間の映画の中のこの部分だけを曲にしよう」みたいなことは言ってます。

Seiho
2時間全部を凝縮して5分にすると、それって伝わらないと思うんですよ。でもその2時間の中の本当にリアルタイムの5分間を曲にするからこそ、分かってもらえるというか。

――しかも、そういうものが「普通の会話みたいなところから出来上がってくる」というのがSugar's Campaignならではという感じがして面白いです。

Seiho
もう5万曲ありますからね。

――プリンスみたいなこと言ってる……。

Seiho
今ちょうど5万曲なんで(笑)。

3人
(爆笑)

これからもこれを積み重ねていけたらいいなって思いますね
お爺さんになってもこんなことを続けていけたらいいな、っていう

――さて、デビュー・アルバム『FRIENDS』を作ってみての感想はどうですか?

akio
やっぱり、こういうものを作るって、この2人(Seiho&Avec Avec)だけでは出来ないなと思いました。それは2人が悪いという意味ではないんですけど、色んな人が関わって出来るものなんだなって。

Avec Avec
もっと計画的にやらないとな、とは思いましたけどね。

――自分たちでも満足できる作品にはなってるんじゃないですか?

Avec Avec
結果としては、ですね。でも満足はしないと思います、一生。

Seiho
……何その話(笑)。「満足はしないと思います、一生」って、見出し決定やん(笑)。

Avec Avec
バーン!って?(笑)。

akio
いいね。今日イチ出た。

Seiho
これ太字にしてください(笑)。……アルバムかぁ、何でしょうね。結局ファースト・アルバムって、生まれてから今までのベスト・アルバムじゃないですか。でも、僕はこういうものをこれからも定期的に作れたらいいな、と思うんです。たとえば、次でもっとマスを意識したものを作ろうとか、逆にもっと攻めたものを作ろうとか、シュガーズではそういうことはあまり意識はしていなくて。僕はこれをずっと続けていく方が楽しい。だから「一生これ」みたいな(笑)。

――ソロとしての活動はそれぞれ続けていって、それとは別にシュガーズという場所があって、定期的にみんなで遊びに来る、みたいなイメージですか。

Avec Avec
うん、そうですね。

――じゃあ、これからのシュガーズについてはどんなことを考えていますか?

Avec Avec
これからもこれを積み重ねていけたらいいなって思いますね。お爺さんになってもこんなことを続けていけたらいいな、っていう。

Seiho
でも、どうなるんかな、ジジイになったら。ひとつは狂うパターン? 「シュガーズが『みんなが共感出来る作品』って言ってるけど『マジわけ分からん……』」みたいな(笑)。映画とかでも、ジジイの作る作品って狂ってるじゃないですか。主観が強いのにそれを客観って言い張る、みたいな。

――尖った映画監督の晩年の作品がぶっ飛んだ内容になったりするという、あの……?

Seiho
そういう、「人間ならみんなこれを理解して当たり前」みたいな感じになってるか。もしくは、歳を取ると時間が遅くなるから、「マジシュガーズずっと同じこと言ってる」みたいになるか(笑)。「あの人たち、同じことを『新しい』『新しい』ってめっちゃ言ってくる……」みたいな。そのどっちかだと思うんですけど(笑)。

――面白いんですけど、これからの話を訊くと普通は1年後とか2年後の話をする人が多いのに、もう何十年も先の話をしてるっていう(笑)。

3人
ははははは。

Avec Avec
でも、20年後とかが一番大事だと思うんですよ。

Seiho
そう、今日のポイントは20年後です。ここ押さえてほしい! すべてが20年後に向かっていく……!!

akio
(笑)いや、ほんと続けていくことが一番重要なんですよね。

Seiho
そもそもAvec Avec(シュガーズで作曲担当が多い)って向上心がないんですよ(笑)。これって全然悪い意味じゃないんですけど、“ずっとそこにいる”感じっていうか。

Avec Avec
単純に、偶然が大事だと思ってるだけなんですけどね。死と生があった時に、死を考える人は必然を考える、生を考える人は偶然を考えるっていうのがあるじゃないですか。

Seiho
でもそれって結局運命論者ですよね。だからクソなんです(笑)。

Avec Avec
いや、資本主義に対抗するにはこれしかないと思ってるから!

――はははは。

Seiho
でも自分では資本主義に対抗してると思ってたら、実はそれが仕組まれたもので……。

Avec Avec
仕組まれた檻の中で……操り人形のように……(笑)。

Seiho
それでAvec Avecが死ぬ時に、「俺は幸せやった」って死んでいったら、シーンが引きの画になって「うえーぃ」って操り人形みたいに操られてたことが分かって(笑)。で、さらにそこから引いて見ると、それがスノードームの中の出来事とかで、でっかい宇宙人がそれでチェスしてる、みたいな(笑)。……なんか、『メン・イン・ブラック』みたいになってきたな。

Avec Avec
それ、次の曲にしよう(笑)。

Seiho
僕ら、将来的にそうなっていきたいんで(笑)。でっかい宇宙人にチェスされたい(笑)。

end
(L→R)akio, Seiho, Avec Avec

『FRIENDS』 Sugar's Campaign
『FRIENDS』 Sugar's Campaign
初回限定盤 CD+オリジナルコミック※ VIZL-767 ¥3,400(税抜)
 ※初回限定生産
通常盤 CD12トラック収録 VICL-64276 ¥2,500(税抜)

Sugar's Campaign単独公演『〜FRIENDSリリパ〜』

東京公演
2015年3月19日(木):代官山UNIT
OPEN / START : 18:30 / 19:30
料金 : 前売 2,800円 当日 3,300円
問い合わせ:代官山UNIT 03-5459-8630

大阪公演
2015年3月20日(金):心斎橋SUN HALL
OPEN / START : 18:30 / 19:30
料金 : 前売 2,800円 当日 3,300円
問い合わせ:心斎橋SUN HALL 06-6213-7077

http://sugarscampaign.com

撮影場所:東京スカイツリータウン®

東京都墨田区押上1-1-2
0570-55-0634(東京スカイツリーコールセンター)
0570-55-0102(東京ソラマチコールセンター)
東京スカイツリー® 8:00~22:00(展望台)
東京ソラマチ® 全館10:00~21:00(6F・7F・30F・31Fのレストランフロアは11:00~23:00)
東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅すぐ
東武スカイツリーライン・東京メトロ半蔵門線・都営浅草線・京成押上線 押上駅すぐ
http://www.tokyo-skytreetown.jp