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banvox

まだ見ぬビッグ・チューンを求めて

Summer / New Style
Warner
WPDH-10336
2015/5/20
At The Moment EP
Warner
WPDH-10345
2015/6/24

ますます活躍著しい日本のインターネット・レーベル周辺から登場した才能たち。その中にあって、tofubeatsやSugar’s Campaignに続いてメジャーと契約を果たしたbanvoxの音楽の特徴は、エレクトロやハウス、トラップ、R&B、ヒップホップなどを飲み込んで一瞬で聴き手をねじ伏せる巨大な高揚感と、フロアと日常を直列に繋ぐ間口の広いポップ・ミュージックとしての魅力。11年にマルチネ・レコーズからリリースしたEP『Intense Electro Disco』でシーン屈指のビッグ・チューン“Laser”をものにすると、その後はEP『Instinct Dazzling Starlight』やアルバム『Don’t Wanna Be』でさらなる評価を獲得。デヴィッド・ゲッタやアヴィーチーからのラヴコールを受けつつ海外でのライヴもこなし、活躍の舞台を広げていった。

そんな彼が、今年になって遂にメジャーに移籍! 5月にメジャー・デビュー・シングル“Summer / New Style”を発表すると、6月にはそのタイトル曲にして目の覚めるようなサマー・チューン“Summer”の他、スウェーデンのDarinやアメリカのThe 49ersらが参加した新曲収録のEP『At The Moment』をリリース。その後Ultra Europe 2015に出演し、目前にはフジロックへの参加も控えている。中でも“Summer / New Style”の発売日となった5/20には、東京の中心=渋谷スクランブル交差点の4面ヴィジョンを、毎時15秒ずつ、まる一日かけて総ジャック。いかにも彼らしい、ド派手なエンターテインメントでメジャーでのキャリアをスタートさせた。

そこで今回は当日の様子と現地での取材を通して、その“最初の一日”に 密着してみましょう。若手屈指のアンセムの作り手が、より広い世界を視野に入れたこと。その先にはきっと、まだ見ぬ巨大なポップ・ミュージックの高揚感が待っている。

メジャーに移籍したからこそ出来ることって、絶対にあると思うんです。
ただ、そういうこと以外では、日本に染まるつもりはない。
もともと海外しか見てなかったし、日本のやり方にはまる気もないんです。

banvox - Summerbanvox - Summer

――banvoxさんはつい先日まで、『SINERGY 2015』のためにシカゴに行っていました(他出演者はm-floの☆Taku TakahashiやPa’s Lam Systemなど多数)。何でも、Pa’s Lam Systemさんと飛行機が一緒だったそうで。

Maltine 2.5D May 5, 2014 Pa's Lam SystemMaltine 2.5D May 5, 2014 Pa's Lam System

m-flo - come againm-flo - come again

そうなんですよ。前からクラブで会ったりすることはあって、Pa’s Lamさんは先輩なんでいつもよくしてくださるんですけど、落ち着いて深い話が出来る機会って意外となかったんです。でも今回席が隣だったんで、ようやくじっくりお話させてもらいました。あまり詳しい内容は言えないですけど……(笑)、お互いがお互いをリスペクトしていることとか、これからどうしていきたいとか、どんなことをしたいとか……そんな熱い話をしてました。

――当日のライヴはどうでしたか? お客さんも相当入っていたようですね。

ライヴは本当に凄かったです。お客さんもめっちゃ入ってたし、めちゃくちゃ盛り上がってくれて。SINERGYには去年も出たんですけど、その時よりさらにbanvoxファンが増えているのを感じました。去年は「banvoxのこともちょっとは知ってくれてるのかな」って感じだったんですけど、そこでファンになってくれた人もいたみたいで。今年はサイン会でプレゼントを頂いたり、「写真撮って欲しい」ってすごい言われたりしたし、海外なのにbanvoxのボードを持ってくれてる人もいたしで、本当にビックリしました。

――プレイの内容はどうでしたか。

海外っぽくやろうと思って、派手な感じにしましたね。前日にホテルで思いついたことを生で入れ込んだら、それも大成功してすごく盛り上がってくれて(笑)。Jack Ü(ディプロとスクリレックスのユニット)の曲からDJ Khaledに繋いで、音を止めてからMAJOR LAZERをかける、みたいな流れがやりたかったんです。そこから自分の“Summer”に繋げるっていう夏っぽい流れを思いついて。「これ行けるかな?」「でも、やるしかない」と思ってやってみたら、それがかなり受けて。反応がすごく返ってきてめちゃくちゃ嬉しかったです。

Jack Ü - Take Ü There feat. KieszaJack Ü - Take Ü There feat. Kiesza

――海外でライヴをするのと、日本でライヴをするのとでは、やっぱり違いますか。

全然違うと思いますよ。日本だと、知ってる曲がかかるとすごく盛り上がってくれるんですけど、海外だと知らない曲でも音がかっこよければ盛り上がってくれる感覚があって。去年はライヴ・セットだったんで全部自分の曲でやったんですけど、それでも全然受けてたんで、「音さえよければ盛り上がってくれるんだな」っていうのは本当に感じてました。新曲と未公開含めて5曲ぐらいかけたんですけど、それでもかなり盛り上がってくれたんですよ。

――ちなみに、Pa’s Lamさんのライヴも観ることは出来ました?

Pa’s Lamさんの時は、ずっと横で踊ってました(笑)。当日はウェブ・ストリームをやってたんですけど、それを観てる人たちにも発見されて、コメント欄で「banvoxがいる!」「banvoxダンスだ!」とか言われてて(笑)。僕、童顔だから向こうだと可愛くみられるみたいで、「ベイビー」って感じで結構可愛がられてましたね……(笑)。

――はははは。

現地では色んなアーティスとの人にも会いました。t+pazoliteさんとか、Massive New Krewさんとか、DJ Genkiさんとか。これまでTwitterでは繋がってたんですけど、日本では実際に会ったり話したりしたことはなかった人たちと、シカゴで会えたりもして。僕の前にマルチネからリリースしていたaranさんも、ずっと近い存在だったのに今回シカゴで初めて会うことができたんです。そういうことが沢山ありましたね。

aran - Mirai Discoaran - Mirai Disco

――今回のメジャー・デビューも「海外により活動の幅を広げたい」という気持ちからの決断だったそうですね。なぜこのタイミングだったんでしょう?

本当は、一年ぐらい前から話は来てたんでんすけど、最初は「契約する気はない」ってずーっと断ってたんです。というのも、内容が僕の思ってたものとはそぐわなくて(笑)。それに、最初はまだ僕のことも分かってもらえてないような気がしてたんで、「僕はこういう人間で、こういうことがやりたいんです」ってことを、一年かけて説明したんです。そこから僕のことを理解していただいて、「これだったら契約してもいいのかも」と思えたのが、半月前ぐらいでした。そこから色々詰めて、最終の契約書が来てからも、実はギリギリまですり合わせてたんですけどね(笑)。僕は我が強いというか……こだわりが強い人間なんです(笑)。それに、ずっとひとりでやってきて、banvoxっていうブランドを守ってきたところもあるんで、そこに他の人たちの手が加わるということについては慎重になる部分もあって。

――全部をコントロールできなくなる可能性があるかもしれない、と。

そうそう。だから、そこが上手くいくように話し合いを何度も繰り返したんです。それもあって、今年の契約としては結構遅い方なんです。普通は1~2月に契約するはずなので。

――メジャーに移籍して、出来ることが広がった部分も感じますか?

もちろん、今日の渋谷のヴィジョン・ジャックとかは、個人では絶対出来ないことですよね(笑)。メジャーに移籍したからこそ出来ることって、絶対にあると思うんです。ただ、そういうこと以外では、僕は日本に染まるつもりはなくて。もともと海外しか見てなかったし、日本のやり方にはまるという気持ちもないんです。それでも契約をさせてもらえたということは、それだけワーナーさんがbanvoxに価値を見出してくれたってことだと思うので、それは本当に嬉しかったですね。

「EDMのアーティスト」って言われるんですけど、僕はEDMってあんまり聴かないんです。
音楽を始めたのは「ヒップホップを作りたい」という興味からで、
色んなものを融合したら面白いんじゃないかな、と思って今の音楽性になっていて。

――“Summer / New Style”はどんな風に作っていったんですか?

Google Android CM:じぶんを おもいきりGoogle Android CM:じぶんを おもいきり

実は2曲とも契約する前に全部出来ていたんです(笑)。“New Style”はGoogle AndroidのCM曲として使っていただきましたけど、あれも個人のFacebookに直接依頼が来て、最初は「いやいや、絶対嘘だろ」と思ったんですよ。でもよく聞くと本当の話で、「まじか、Googleの仕事きちゃったよ!」って(笑)。CM放送部分は従来のbanvoxっぽいものにしつつ、でもフルで聴くと新しいbanvoxサウンドになるように考えていきました。

――確かに、“New Style”はCM版を聴くのとフル・バージョンを聴くのとでは全然印象が違いますよね。前半と後半で全く違う曲がひとつになっているような雰囲気です。

banvox - New Style Concept Moviebanvox - New Style Concept Movie

「変えてるよ」っていうことを表現したかったんですよ。そういえば、面白い偶然があったんですけど、“New Style”は最初、Google AndroidのCMテーマを知らない状態で「New Style」っていう声ネタを入れてたんです。で、その後会社に行って企画を聞いたら、「これから新しくAndroidを使う新入生とか、新社会人に向けてのCM」だという話で……。インスピレーションで作っていたら、テーマがばっちり合うっていう偶然が起きて(笑)。完成品としても「こんなにスケジュール通り出来たCMはない」って言ってもらえるぐらい反応もよくて、すごく自信になりました。

――banvoxさんは曲を作る時は、ビートから作ることが多いんですよね? “New Style”の場合もそうだったんですか。

そうですね。イントロから作って、次はコードを作って、みたいな感じです。実は最初からCMで使う部分以外も全部作ってたんで、CM用の音源を送る時点で既にドロップのところもあったんです。そこから15秒の部分だけ送って、30秒バージョンが欲しいって言われたらすぐに送れるように用意して。僕、一回作り始めると最後まで作りたくなっちゃうタイプなんですよ(笑)。だから、15秒だけ作ってみたいなのは無理だったりして。依頼が来た日にテンションが上がり過ぎて、その日の夜から始めて翌朝までに完成させました。

――早すぎる……(笑)。

(笑)でも、自分でも聴き込みたかったので3日寝かせてから送って……。もともと、作るのは結構早いタイプなんですよ。いつも頭の中で考えていることがあって、曲を作る時はそれを単にアウトプットするだけ、っていう感じ。むしろインプットを多くしているというか。

――一口にインプットと言っても人によって様々ですが、どういうものからインスパイアされることが多いんでしょう?

僕の場合は、結構色んな音楽を聴くので、そういうものからの影響が大きいと思いますね。でも、よく「EDMのアーティスト」って言われるんですけど、正直僕は、EDMってあんまり聴かないんですよ……。ヒップホップとかR&Bとか、色んなものを聴くんですけど。

――アルバム『Don’t Wanna Be』もR&Bに寄った作品でしたね。外から見させてもらっていると、banvoxさん自身が「EDMだ」という周囲の評価を窮屈に感じてるんじゃないかな、という印象は持っていました。

banvox - Love Strong / Watch Me Dancebanvox - Love Strong / Watch Me Dance

あの作品も、もともとはトラップとR&Bの融合っていうテーマで作ったものだったんです。だからR&Bっぽくなってる、という話で。それに、僕はもともと音楽を始めたのも「ヒップホップを作りたい」という興味からだったし。そうやっていくうちに、自然と広がっていって、色んなものを融合したら面白いんじゃないかな、と思って最終的に今みたいな音楽性になっていった部分があって。

――そもそも、昔から距離が近かったマルチネの人たちもそうですよね。ジャンルを問わず何でも聴くし、「いいものはいい」という、とても開かれたスタンスというか。

まさにそうですよね。素晴らしいことだと思います。

――自分の体験からインスパイアされて曲を作ることもありますか?

どうなんでしょうね? でも、今回のシカゴだってすごく刺激を受けたし、直接的ではないとしても影響を与えてる部分はあるのかもしれないです。今回は色んな人のライヴが観れたし、Pa’s Lamさんのライヴも、もう何度も観させて頂いてますけど、海外で観ても本当にすごくて。だからもう、「これまでオリジナルで作った音源を全部送ってもらって、リミックスさせていただいてもいいですか?」ぐらいの勢いで聞いちゃいました(笑)。

――Pa’s Lam さんもbanvoxさんも、ビッグ・チューンが作れる人たち、という意味で共通するものを感じます。知ってる人も知らない人も関係なくブチ上げてしまうという。

ああ、そう言ってもらえると嬉しいです。別に何かが決まってるわけじゃないですけど、お互いリミックスしあってEPを作れたら楽しいかもと言っていたぐらいで。

――やっぱり、「お客さんをブチ上げていこう」「でっかいパンチを打っていこう」ということは、自分の活動にとって大切な部分だと思いますか?

それは絶対にそうだと思います。だって、音楽を作るなら、僕は「面白くなければ面白くない」って思うんです。それに、音がかっこいいのはもちろん、人間性が面白い人とコラボしたい。人柄ってなんとなくですけど、音楽に出ると思うんですよね。だから、話したりして面白い人とやっていけば、面白い音楽が出来るんじゃないかと思ったりしてて。今回のシカゴで会えたのもそういう人たちばっかりで、すごい楽しかったです。

――“Summer”はどんな風に作っていったんですか? 

この曲は原点回帰ですね。昔の曲みたいな感じで作ろうと思って、ヴォーカルをカットアップして作りました。でも、それだけじゃ楽しくないんで、そこに今のbanvoxの音も加えて。今と昔を融合させたような曲にしようと思ったんです。

――ここに来る前に『Intense Electro Disco』を聴き返してみたんですが、記憶では“Summer”のイメージに近いと思っていたものの、実はビートが全然違って驚きました。

banvox - Summerbanvox - Summer

そうですよね。だから、まさに昔の僕と今の僕とを合わせたら“Summer”になった、という感じなんだと思います。僕のエージェントって、なかなか褒めてくれないんですけど、この曲は送った瞬間に褒めてくれてビックリしました。イントロからいきなり「これはいい」って言ってくれて、「いやいや、なに冗談言ってるんですか」って感じで(笑)。そしたらガチの感想だったみたいで、それで“Summer”をタイトル曲にすることにしたんです。この曲は、本当にインスピレーションで出来たような感じですね。実は“Summer”の声ネタは、“Connection”の時と同じ人の声ネタを使いました。そういう意味でも原点回帰なんですよ。たしかEP『Instinct Dazzling Starlight』もそうだったと思うんですけど、僕はああいう声質の人が好きで、その人の音源を漁って漁ってサンプルを作りました。

――その人の声ネタをよく使うのは、どんな理由なんでしょう?

何でしょうね。どこか……特徴的な声だと思うんですよね。普通の女の人の歌声ではなくて、ハネたり下がったりすることが多いネタなんで。だから自由に使いやすい。でも、使い過ぎてもうネタが尽きてきてるっていう……(笑)。

――(笑)。

実はこれ、制作秘話なんですけど、次に出るEP『At The Moment』のタイトル曲は、その女の人の3個の声ネタをひとつにカットアップして使ってるんです(笑)。だから、“Connection”の声ネタが一瞬入っていたり、他にもその人の声が入っていたり……っていう、超手間のかかるバカみたいなことをしてて。「あれ、これ“Connection”?」みたいな瞬間があったりするんですよ(笑)。

――曲名はどうやって考えていくんですか?

完全にフィーリングですね。あと、困った時はSekitovaに相談したりもします(笑)。

SEKITOVA @ DOMMUNE 21.05.2014SEKITOVA @ DOMMUNE 21.05.2014

――Sekitovaさんとは一番仲がいいそうですね。

僕が音楽をはじめてすぐの時にTwitterで話かけてきて、僕が音楽始めて3ヵ月ぐらいの時に出したEPを聴いて、「きみ面白いね」みたいな感じで声をかけてきたんです。でも僕は、最初は全然好きじゃなかったんですよ(笑)。ちょっと発言がえらそうなんで、「何だよこいつ」って思ってて(笑)。でも話してみるとすごく自分を持っているというか。そういう意味で僕と似てるな、と思ったんです。それを彼は表に出すタイプ、僕は内に秘めるタイプという違いがあるだけで。それですごく気があって、今も交流が続いてますね。で、曲名で迷ったりした時には彼に「どういうのがいいと思う?」って訊いて、単語を挙げてもらったりしていて。そこで挙がったものから、「ああ、それいいね」って感じで決めたりすることもあります。“Summer”は自分で決めました。でも、EP『At The Moment』のタイトルは彼に決めてもらったんですよ。

――へええ。“New Style”というタイトルについてはどうでしょう?

すごく分かりやすいと思ったんです。“New Style”って聞くと、「あ、Googleかな」っていうことが分かるというか。「Androidと何か」という発想でもよかったのかもしれないですけど、ド直球の方が面白いかな、と思って。後半が今までにないbanvoxのニュー・スタイルで、前半がらしい感じを出したとうことで、1曲まるまるでニュー・スタイルなんです。

やるからには一番になりたいし、みんなが知ってくれる存在になりたい。
ダンス・ミュージックだけじゃなくて、
もっともっと一般の人にまで届くような音楽を作りたいんです。

――今回、ヴォーカリストを迎えようとは思わなかったんですね。

そうですね。今回はわざと声ネタで行こう、って決めてました。これまで一人でやってきたのもあって、せっかくメジャーからのファースト・リリースなのに、ヴォーカリストを呼んじゃうと濁るかな、と思ったので。やっぱり、“Summer”と“New Style”は原点回帰を意識して作ったんですよ。

――「これがbanvoxだ」という?

そうそう。もともとあった曲ではあるんですけど、そういう意味で「これが合うな」って思ったんです。メジャー・デビューとのリンクが感じられるというか。

――過去と今とで作曲においてどんな変化を感じますか。

自分で言うのもあれですけど、成長したなぁとは思いますね(笑)。昔のプロジェクトも全部残ってるんですけど、“Laser”のものって、今見るとプロジェクトの音数が本当に少ないんです。音は詰まってるのに、プロジェクトは数段しかなくて。でも、今はかなり増えていて、音のマスタリングやミキシングも自分でやってるんで、クオリティもかなり上がってきてるんじゃないかなとは思ってますね。

――今回のメジャー・デビューは、banvoxさんの活動にとってのひとつの大きな節目でもあると思います。音楽を始めてからこれまでに経験した節目のようなものを3つぐらい挙げるとしたら、何を挙げますか?

3つですか? なんだろう。……まずはマルチネからリリースをした時に、フォロワーが倍以上になって、2日で4000ダウンロードされたこと。でも僕はそれで満足しなかったというか、それで海外に送ってみたら、ビートポートの2位になって、デヴィッド・ゲッタからコメントをもらったりして、本当に夢みたいなことがいっぱい起きて。その後メジャーから契約の話が7~8社来て……。それが13年頃の話ですね。そして最後は、やっぱりメジャー・デビューなのかな……? いや、Google AndroidのCMですね。あれでSNSのフォロワー数がもう、意味が分かんないことになってきて(笑)。CMでTVにも出ましたし。

――CMには最初から出演する予定だったんですか?

CMの話を受けて打ち合わせに行ったら「出ませんか?」って言われて「いいの?!」という感じになったんです。それで出演させてもらったんですけど、Yahoo知恵袋で「最後に出てた男の子は俳優さんですか?」ってきかれたりしていて(笑)。

――banvoxさんは積極的に出ていくべき人だと思いますよ。

いやいや、僕は本当にシャイなんで。でも、頑張ります(笑)。ガンガン露出していって、シャイを直していきたいです。

――人との出会いという意味でも、印象的な出来事はありますか?

そうですね……ひとつは、今のエージェントと会えたことなんだと思いますね。ワーナーさんの方ではないのですが、実は2年ぐらい前から付き合いがあって、今回のメジャーをきっかけに僕の専属になってくれて……。友達っていうと干支は一回りぐらい違うんですけど、そういうすごく面白い人と知り合えて、僕が憧れてたヒップホップの人たちと一緒に仕事をしてた人なので、すごく話も合って。それに、僕に合わせてくれたりして、すごく感謝してて。そのエージェントと会えたことは本当によかったと思うし、これからもずっと一緒にやっていきたいですね。

――これから、出来ることはますます増えていきそうですね。

やっぱり、やるからには一番になりたいし、みんなが知ってくれるような存在になりたいです。ダンス・ミュージックだけじゃなくて、もっともっと一般の人にまで届くような音楽を作りたい。だから僕はR&Bをダンス・ミュージックと融合させたりするんだと思うし、普段でもクラブでも聴けるものを作ろう、というのはずっと考えてることなんです。

――そもそも、音楽を作り始めた時はまだクラブに行ったことがなかったんですよね?

そうなんですよ。だから僕は、クラブ遊びって得意じゃなくて(笑)。クラブに行かない人たちも聴けるし、クラブでもかけられる……そんな曲を作りたい。そうやって全世界の人にbanvoxの音楽を認知してもらって、世界的なアーティストになれたら嬉しいです。僕には音楽しかないし、そういう気持ちでしかやってない。もともとヒップホップのトラックを作りたくて始めて……でも、ヒップホップってすごく広いじゃないですか? ちょっとダンス・ミュージックっぽいヒップホップもあって。そういう音楽に当時ハマって、それで音楽を作っていったら、だんだん「自分はクラブ・ミュージックの方が作れるんだな」という感覚になって。ヒップホップに影響を受けながらも、ダンス・ミュージックに流れていって、R&Bも好きで聴いていて……。色んな音楽から影響を受けてるんです。だから、理想は、「banvoxというジャンル」を作ることですね。